株主・投資家情報トップページ > Expert's View > フィールズへの第三者評価

Expert's View インタビュー

フィールズへの第三者評価

2011年6月24日

写真:白石 幸毅

大和証券株式会社
金融証券研究所 企業調査第二部
課長代理/アナリスト 白石 幸毅(しらいし・こうき)

2002年の入社来、一貫して企業調査部に在籍し、上場企業を主な対象とした証券アナリスト業務に携わる。通信、機械、米国企業などのセクター担当を経て、2011年1月より、民生エレクトロニクス、ゲーム・アミューズメントセクター担当アナリストを務める。

フィールズは、遊技機(パチンコ、パチスロ機)の販売商社に端を発し、創業来、遊技機業界はもちろん、各コンテンツホルダー(版権等保有者)との接点を多く築き上げてきた。そして、その接点を生かして獲得したコンテンツの使用権や、そのコンテンツの活用、企画力、そしてメーカーと共同で開発した機種を市場全体に広める販売力が同社の強みとなってきた。
同社は、創業からまだ歴が浅い方に属する企業かもしれないが、提携や買収を通じて、その時代情勢の変化に応じた企業形態の変化を柔軟に行っていることも、これもまた同社の強みであろう。過去数年においても、権利獲得を目指した株式会社円谷プロダクションの取得、企画だけでなく開発力の強化を目指すための株式会社マイクロキャビン、株式会社デジタル・フロンティアの取得、モバイルコンテンツ展開を強化するためのNHN Japan株式会社(韓国大手インターネットサービス事業者の日本法人)との提携など、数多くの事例を残している。
このような柔軟な変化の姿勢によって生み出される強みは、一朝一夕に覆されるものではなく、自前に企画・開発部門を持つ有力遊技機メーカーが同社と提携関係を結んでいることがその何よりの証左であろう。2011年3月期~2012年3月期においても、これまで関係の近かったメーカー(株式会社SANKYO 、セガサミーホールディングス株式会社)に、株式会社エンターライズ(株式会社カプコンの連結子会社)、京楽産業.株式会社との新たな提携効果が加わる形で顕在化していく見通しである。
一方、業績だけを見れば、主力の遊技機関連事業(PS 事業)は、ヒット機種の有無によって業績が大きく変動する特徴を有することもまた事実である。実際、2011 年3 月期の過去最高益業績も、同社看板タイトルと言うべき「ヱヴァンゲリヲン」シリーズの遊技機の寄与が大きい。しかし、既述したコンテンツホルダーの取得、提携や、開発部門強化の動きは、この「ヱヴァンゲリヲン」依存度の高い状態からの脱却を狙うものであり、事業リスクの分散化、安定性の向上につながるものと理解している。買収や提携を行った案件は、その規模がさほど大きくないものも含まれることや、モバイル分野の強化のようにやや時間を要するものも含まれる。つまり、連結業績はまだしばらくは、主力のPS 事業が左右する状態が続くことが想定される。
しかし、このことを決してマイナスに捉える必要はないだろう。同社は過去に、遊技機関連以外の事業において、多角化を急ぎすぎたあまり、家庭用ゲーム事業(株式会社D3パブリッシャー)のように、事業管理面での失敗などを経験したことがある。直近で行われている買収・提携の実行スピードや規模感においては、このような過去の反省が十分に考慮されている印象が強い。
遊技機業界を取り巻く環境は、決してフォローウィンドではないが、同社業績は、当面は新たな遊技機メーカーとの提携効果によって拡大成長が見込める状況である。つまり、次の成長の
種シーズを育む時間は十分あると言える。安定成長軌道にあるという点で同社は魅力的だが、次なるシーズの芽生えによって、さらにどのように発展するのか、このわくわく感を感じさせてくれる点が、それ以上に同社の魅力ではないだろうか。

(注)本第三者意見は、2011年6月24日に発刊した「2011年3月期 株主通信」にご寄稿頂いた内容となります。

大和証券株式会社 会社概要
当社は、株式会社大和証券グループ本社傘下のホールセール専業証券会社である。国内外の機関投資家に対し、コンサルティング業務、投資銀行業務、経済・企業などのリサーチ業務、ベンチャーキャピタル業務など、広範囲の金融ビジネスサービスを提供している。