株主・投資家情報トップページ > Expert's View > フィールズへの第三者評価

Expert's View

フィールズへの第三者評価

2012年6月21日

写真:桜井 雄太

野村證券株式会社
エクイティ・リサーチ部 情報通信チーム
エグゼクティブ・ディレクター
桜井 雄太

社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員。
90年3月慶應義塾大学経済学部卒業、同4月野村證券入社。
東京都出身。

日本生産性本部の2010年版「レジャー白書」によると、パチンコの貸玉料に相当する市場規模は19兆3,800億円で、余暇市場全体の29%を占める。また、パチンコ機およびパチスロ機(以下、遊技機)の年間市場規模は約1兆2,000億円と推定され、日本のものづくりを支える基幹産業である工作機械の受注額(2010年で約9,800億円)を上回る。
巨大産業であるパチンコ業界は、遊技機や周辺機器などを製造する企業、販売する企業、利用する企業(パチンコホール)の三層で形成されている。こうした中で、川上(遊技機の企画)と川下(遊技機の販売)の双方を手掛ける企業がフィールズ(以下、当社)である。生産設備を持たず、製品の開発と販売に特化しているという点で、家庭用ゲーム機およびソフトを手掛ける任天堂に近いビジネスモデルと言える。
当社の強みは以下の三点である。第一に、優れたコンテンツを自ら創出ないし発掘する能力である。グループには、映画やアニメーション、コミックを含む書籍など様々なコンテンツの開発を手掛ける複数の子会社が存在する。また、主力の遊技機事業を通して蓄積したグループ外企業とのネットワークや版権獲得のノウハウは、競合他社の追随を許さない。
第二に、自ら創出ないし発掘したコンテンツを、長期間にわたって収益化する能力である。「ヱヴァンゲリヲン」シリーズ初のパチンコ機は04年12月、パチスロ機は05年9月に発売されたが、緻密なマーケティングによって着実に「進化」を重ね、現在でもパチンコホールの主力機種となっている。
第三に、遊技機の高い販売力である。複数のメーカーの遊技機を取り扱っているため、全国を網羅する26支店の営業人員が高い頻度でパチンコホールを訪問し、収集した情報を遊技機の企画・開発部門へフィードバックする体制が構築されている。当社が02.3期から11.3期までの10年間で販売した遊技機は、累計で400万台を超える。また、当社の販売台数シェアは、02.3期の5%から11.3期には13%まで上昇した。
一方、当社のこれまでの営業利益の推移を見ると、年間120~130億円で頭打ちとなっている。さらなる成長を実現するためには、遊技機で「ヱヴァンゲリヲン」シリーズに次ぐ第二、第三の柱を生み出すとともに、遊技機以外の事業分野を伸ばすことが不可欠であろう。また、当社は四半期業績の変動が大きいため、提携先の拡大による主力製品の発売時期の平準化や、固定費の変動費化が課題である。
なお、一般消費者における当社の知名度は必ずしも高くないが、機関投資家のみならず個人投資家向けのIR活動に精力的で、情報開示の質も高い。パチンコ産業は規制の変化による影響が大きい上に、成長イメージも乏しい。しかし、(1)積極的な株主還元で長期保有の投資家を増やし、(2)売り出し等によって株式の流動性を高め、(3)成長のボトルネックとなっている上述の課題を克服すれば、株式市場における評価も高まるであろう。


(注)本第三者意見は、2012年6月21日に発刊した「2012年3月期 株主通信」にご寄稿頂いた内容となります。

野村グループ 概要
野村グループは、「変化を作る」「ワールドクラス」「スピード」の3つを経営ビジョンのキーワードとし、「お客様中心主義」を徹底することにより世界中のお客様へワールドクラスの品質のサービスを提供することを目指しています。