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Expert's View

フィールズへの第三者評価

2013年6月20日

写真:木村 佳子

JPモルガン証券株式会社
株式調査部 アナリスト
前田 裕介

2008年JPモルガン証券(株)株式調査部へ入社。小売、自動車セクターで経験を経て、2010年よりメディア・ゲーム・インターネットセクターに所属。現在はメディア及び遊技機セクターを担当。1984年生まれ、米ウッドブリッジハイスクール、慶應義塾大学商学部卒業。

フィールズ(株)は、パチンコ・パチスロ分野を主力事業としつつ、コミックス、アニメーション、映画/テレビ、ソーシャルゲームなど幅広いエンタテインメント領域に進出している。同社のこれからに期待している点として、(1)遊技機タイトルラインアップの拡充・平準化、(2)IP(知的財産)展開でのヒット作品創出と利益の顕在化、(3)IPに関する環境変化を挙げる。
第1に、優良アライアンス先拡充による遊技機ラインアップの盤石化は、株式市場における同社の評価を高める重要な要素であると考える。1、2機種の大型タイトルのみでほとんどの利益を稼ぎ出すビジネス展開が長期的に見て安定的とは言い難い。また、メーカー都合で販売スケジュールに期ズレが生じることは、販売会社の大きな事業リスクとして顕在する。同社はこの点で、これまでの「ビスティ」、「ロデオ」に加え、「オッケー」や「エンターライズ」の投入タイトル数増加、「ミズホ」ブランドの展開などが見込まれ、ラインアップや発売時期の平準化が期待される。さらなる提携先拡充や、その試みの中で『ヱヴァンゲリヲン』(ビスティ)に次ぐ柱を構築することに成功すれば、過去最高益の更新も十分視野に入ってこよう。
第2に、注目するIP展開のトピックスとしてはまず、2013年2月にスパイシーソフト(株)からソーシャルゲーム事業を取得したことが挙げられよう。開発エンジン・スタッフの獲得により、今後投入するソーシャルゲームのクオリティ向上、スピーディな展開、それに伴うヒット作品の台頭と業績への貢献に期待したい。また、コミック誌「月刊ヒーローズ」と連動した、アニメ『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』のテレビ放送が2013年4月から開始された。アニメ自体の人気化はもちろん、臨場感溢れる戦闘シーンや美麗なグラフィックから、今後遊技機化やソーシャルゲーム化を含めたメディアミックス展開に発展するかに注目している。
第3のポイントは、TPP(環太平洋経済連携協定)。同社の業績見通しに即座に直結する要素ではないものの、日本がTPPに加盟すれば、同社を含め国内コンテンツ産業にとって追い風となる可能性があろう。知的財産保護の強化により、模倣品・海賊版の減少や、コンテンツの輸出が促進されるといったメリットが考えられる。だが、著作権に厳しく、価格の高い国内コンテンツが、TPPへの加盟によってさらにその性質を強めただけのところで、産業全体の本質的な成長には繋がらないだろう。重要なのは、国内IPを海外へ積極的に根付かせていこうとするマネジメントマインドの有無であると我々は考えている。この点で、フィールズ(株)では『ウルトラマン』を筆頭に、ヒーローコンテンツのグローバル展開の進展に注目していきたい。むろん、これを早期に成功させることは容易ではないが、将来的には「ウルトラマン→フィールズ」として海外投資家からの認知度が高まり得ると期待する。
なお、上述したフィールズ(株)の見通しに向けて、株主ポートフォリオの拡大に備えておくことも重要な経営課題だろう。同社のCSRへの取り組み、情報開示の質、投資家との対話などは業界内でも高く評価できる。あとは、さらなる株主還元の積極化や、エポックメイキングなアクションを起こすことで、株式取引を活発化させていけるかに期待したい。


(注)本第三者意見は、2013年6月19日に発刊した「2013年3月期 株主通信」にご寄稿頂いた内容となります。