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業界早わかりガイド

日本の娯楽、エンタテインメント産業の中で、特に魅力的である産業は「パチンコ産業」であるといえます。過去のイメージから誤解をしている方もいらっしゃいますが、現在は産業規模としても非常に巨大であり、大きな可能性を秘めた業界です。イメージにとらわれずに現状を知ることで、是非パチンコ産業についての理解を深めていただきたいと思います。

巨大な余暇市場・パチンコ産業

パチンコ・パチスロ産業は娯楽の王道

価値観が多様化する現代において、休日など自由に使える時間、つまり「余暇」の過ごし方はより多様化しています。
余暇に対する支出が行われる市場を「余暇市場」といいます。レジャー白書によれば、2019年の余暇市場規模は72兆円に上り、余暇市場におけるパチンコ産業の市場規模は20兆円となっています。これは余暇市場全体のうち、約3割ものシェアを占めています。また、パチンコ・パチスロは、全国9,639軒のホールで、890万人の人々がプレーしており、日本人の主要な娯楽の1つであることがうかがえます。

余暇市場の規模

パチンコ・パチスロの市場動向

遊技者1人あたりの年間平均費用及び年間平均活動回数は、ここ数年減少傾向にありましたが、近年では、適度な消費金額の枠内で多様かつ斬新なゲーム性が味わえる新規則機が市場に投入され、市場から一定の評価を得たこと等により、遊技者の活動機会が増えたとみられ、2019年には上昇基調に転じております。

パチンコ・パチスロ年間平均費用及び年間平均活動回数の推移

(期間:年)

パチンコ・パチスロ機市場

(期間:年)

遊技機販売台数の推移

(期間:年度)

歴史あるパチンコ産業

パチンコ産業は70年以上もの歴史があります。現代のパチンコの始まりは、パチンコ台の原型ともいえる1948年の正村ゲージの登場にさかのぼります。それまでの等間隔に釘が並ぶだけのパチンコは、およそ娯楽とは程遠いものでした。しかし、釘の配置に変化を持たせた正村ゲージの登場によって、娯楽性、技術介入性などが飛躍的に向上しました。正村ゲージは第一次パチンコブームを巻き起こし、以来、技術の進歩とともに「チューリップ」「フィーバー」などの魅力的な遊技機が人気をけん引し、幾度も日本にパチンコブームが訪れました。近年では、液晶画面が搭載されたパチンコが主流となっており、よりエンタテインメント性が高まっています。このように、パチンコ産業は歴史を積み重ね、世の中の人々に娯楽として根付いていきました。

遊技参加人口の推移

(期間:年)

「正村ゲージオール10」(正村商会)
「正村ゲージオール10」
(正村商会)
「チューリップ」(成田商会)
「チューリップ」
(成田商会)
「フィーバー」(SANKYO)
「フィーバー」
(SANKYO)

パチンコ・パチスロとは

パチンコは直径11mm、重さ5gの玉を使って遊びます。まずは、ハンドルを使って玉を打ち出します。打ち出された玉がスタートチャッカーと呼ばれる穴に入れば、台中央にある液晶でさまざまな演出が発生します。液晶で図柄がそろえば大当たりとなり、玉を増やすことができます。
パチスロは直径25mmまたは30mmのメダルを使って遊びます。コイン投入口にメダルを入れた後、スタートレバーを叩くとリールが回転します。遊技者はストップボタンを押してリールを止めます。止まったリールの図柄によってメダルが払い出され、メダルを増やすことができます。
遊技者は、これらの遊技によって得られた玉・メダルを、お好きな景品に交換することができます。

パチンコ・パチスロの楽しみは、玉やメダルを増やすことだけではありません。近年のパチンコ・パチスロには、アニメ、マンガ、ドラマ、映画など実に多様なコンテンツが登場しています。それらが液晶の中でドラマチックなストーリーや楽しい演出を繰り広げます。遊技者はパチンコ・パチスロを通じて、懐かしさを感じたり、ワクワク・ドキドキしたりといった感動と興奮の演出を楽しめるのです。
つまり、パチンコ産業はパチンコ・パチスロを楽しむお客様に快適な場を提供する「時間消費型レジャー」であり、魅力的なコンテンツを楽しむ「エンタテインメント産業」であるといえます。

パチンコ・パチスロの名称

二極化していくメーカー

メーカーは広くさまざまな年齢層に楽しんでいただくために、ハード、ソフト両面から開発を続けています。ハード面では、近年、液晶の大型化や画像チップの高性能化を受けて、より華やかな液晶演出を魅せることが可能になりました。一方、ソフト面では、演出の大部分を担うコンテンツの重要性が高まってきています。有力なコンテンツを活用し、企画・開発力のあるメーカーは次々とヒットを生み出しています。現在では、上位5社が占める販売シェアは約60%以上であり、メーカーの二極化という現象が起こっています。

遊技機販売シェア(2019年度)

パチンコメーカー販売台数(台) 販売シェア
SANKYO※1 149,520 15.5%
ニューギン 120,000 12.5%
京楽産業.※2 106,000 11.0%
三洋物産 106,000 11.0%
サミー 104,581 10.9%
上位5社の合計※3 586,101 60.8%

※1 SANKYOは、SANKYO、ビスティ、ジェイビーの3社合算値
※2 京楽産業.はオッケー分を含む
※3 上位5社の合計の販売台数シェアは表上計算にて算出

パチスロメーカー販売台数(台)販売シェア
サミー※1 123,33621.9%
大都技研 73,00013.0%
平和・オリンピア※2 68,91712.3%
ユニバーサルE※3 59,14310.5%
北電子 48,000 8.5%
上位5社の合計※4 372,39666.2%

※1 サミーは、サミー、ロデオ、タイヨーエレックの3社合算値
※2 平和・オリンピアは2社の合算値
※3 ユニバーサルE=ユニバーサルエンターテインメントは
 ユニバーサルE、ミズホ、メーシー販売、エレコの4社合算値
※4 上位5社の合計の販売台数シェアは表上計算にて算出

パチンコホールという空間

身近なエンタテインメント空間

パチンコホールは誰もが気軽にエンタテインメントを体感できる空間です。パチンコホールにはさまざまなパチンコ機やパチスロ機が並び、余暇としてパチンコ・パチスロを楽しむ人たちで溢れています。パチンコホールは、現状に満足することなく新規顧客の獲得のために、魅力的な遊技機の導入はもちろんのこと、明るく清潔な店内や丁寧な接客など、ソフトとハードの両面からさまざまな施策・サービスを展開しています。パチンコホールは、単に遊技機を提供するだけではなく、誰もが気軽に楽しめるエンタテインメント空間を提供すべく日々進化しているのです。

大型化・チェーン店化するパチンコホール

全国には9,639軒のホールがあります。総店舗数は年々減少傾向にあるものの、総設置台数は概ね横ばいとなっており、1店舗あたりの設置台数は増加しています。つまり、近年のパチンコホールの特徴として、店舗の大型化・チェーン店化が進んでいるといえます。

ホール件数および1店舗あたりの設置台数推移

(期間:年)

パチンコ産業に眠るビジネスチャンス

パチンコ産業を構成するのは

パチンコ産業は多くの業種で成り立っています。遊技機を製造するメーカー、遊技空間を提供するパチンコホール、遊技機をパチンコホールに販売する販売商社、台を構成するパーツを作っている部品・ソフトメーカー、そして設備を納入している付帯設備メーカーなどです。それ以外にも、ホール景品であるお菓子や各種グッズを提供している卸売業者やそれらを製造しているメーカー、新聞広告などを制作する制作会社、景品コーナーに出店する小売業者なども間接的に市場を形成する市場参加者といえます。このように、さまざまな業種によって構成され、同時に大きな雇用を生み出しているのがパチンコ産業です。

パチンコ産業の構成者

※1 メーカー数は各組合加盟社数
パチンコ:日本遊技機工業組合の加盟企業
パチスロ:日本電動式遊技機工業協同組合の加盟企業(賛助会員含む)

派生し広がるビジネスチャンス

魅力的なコンテンツによる遊技機の人気によって、多様な派生ビジネスが生まれています。人気機種においては、ゲームソフトウェア化、使用音楽のCD化、キャラクターグッズ化などの数多くのコンテンツの展開があります。優れたコンテンツを活用できる産業であるため、さまざまな産業からの参入によって、単なるパチンコのみの産業ではなく、マルチにその魅力は広がる可能性を秘めています。
つまり、すでにこれだけ巨大な市場でありながら、まだまだ成長やビジネスチャンスが眠っているパチンコ産業には、大きな可能性があるといえるのです。

パチンコホールの収益構造

20兆円の規模となるパチンコ・パチスロ産業は、イメージとは裏腹に、パチンコホールの粗利率は約16%と非常に低い数値となっています。ユーザーが使用した金額の約84%は景品としてユーザーに還元されているからです。この還元率は他の市場に比べると非常に高い数値です。
さらに、粗利益のすべてがパチンコホールの純利益となる訳ではありません。パチンコホールの新店舗出店や改装費、新台入替費用、広告宣伝費などに使われ、それらを粗利益から引いた利益が純利益となります。
さまざまな産業でも、常にお客様を呼び続けることは非常に難しいことです。パチンコホールは、常にユーザーに来店いただくために、新台入替を頻繁に行ないます。この新台入替は「集客再投資」と考えられ、パチンコホールは集客力の高い新台を入れることで利益を生み出し、その利益の一部を再び新台購入への投資とすることで経営を行なっています。

収益構造

(参考)遊技機の計上方法について

遊技機の販売方法について

当社の遊技機の販売方法には、当社支店の営業活動により直接パチンコホールへ販売する「代理店販売」方法と、販売の仲介を行う「代行店販売」方法があります。

(1) 代理店販売
当社がメーカーより遊技機を仕入れ、パチンコホールに販売するものです。 (2) 代行店販売
当社がメーカーの販売代行店(販売仲介業者)として、売買契約書の作成や集金、アフターサービス等、遊技機販売に関わる業務を代行し、メーカーより代行手数料を得るものです。
なお、代理店販売、代行店販売ともに、当社の代行店をさらに経由して販売する場合があります。
物流面では、代理店販売、代行店販売ともに、遊技機はメーカーより直接パチンコホールに納入されます。代理店販売においてもこのような方式を採っているのは、遊技機の不正改造を防止する目的から、遊技機をメーカー指定の運送業者により配送するためです。

売上等の計上方法

2021年3月期以前
(1) 「代理店販売」
売上高:当社がパチンコホールに販売した遊技機の代金を計上(売上計上基準:遊技機の出荷時点)
売上原価:遊技機メーカーからの遊技機の仕入代金(代行店を経由して販売する場合、その代行手数料も計上)

(2) 「代行店販売」
売上高:遊技機を販売した際にメーカーから受け取る手数料を計上(売上計上基準:遊技機がパチンコホールに納品され、メーカーへ遊技機代金が納入された時点)
売上原価:なし(代行店を経由して販売する場合、その代行手数料を計上)

2022年3月期以降
2022年3月期第1四半期期首より、「収益認識に関する会計基準」 (企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これにより、当社が「総発売元」となる取引については、販売方法(代理店/代行店販売)に関わらず、以下の通り計上されます。

売上高:当社がパチンコホールに販売した遊技機の代金を計上(売上計上基準:遊技機の出荷時点)
売上原価:遊技機メーカーからの遊技機の仕入代金を計上(代行店を経由して販売する場合、その代行手数料も計上)

なお、代行店販売で、当社が「総発売元」とならない取引については、2021年3月期以前と同様の売上高および売上原価が計上されます。売上計上基準は、代理店販売と同様に遊技機を出荷した時点です。

※「総発売元」とは
フィールズが提携メーカーとともに企画・開発した遊技機を独占的に販売すること。 

パチンコ産業の構成者

出所:
「パチンコ関連メーカーの動向とマーケットシェア2020年版」矢野経済研究所
「レジャー白書2020」日本生産性本部
「DK-SIS白書2020年版」ダイコク電機